「インドは世界最大の映画制作国!」
「きっとうまくいく」「バーフバリ」を始め、日本でもインド映画は人気。
年々、インド映画は世界中から注目を集めています。
今回はインドの製作本数や発祥地など、気になるインドの映画事情についてお届け!
インド、実は《世界一の映画制作国》
【その①】インド映画、年間の製作本数は1,900本以上!
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の統計データ(※1)によると、2017年世界全体の映画製作本数で、第一位はインド製作・1,986本!
ちなみに、2位は中国(874本),3位はアメリカ(660本),4位は日本(594本)。
他国に比べ、インド映画は圧倒的に制作本数が多い!
インドで映画が普及している背景としては諸説ありますが、家庭でのテレビ普及率が低く、主要な娯楽として映画がインド国民に愛されてきた事や、インドが200言語を超える多言語国家であるため、言語が異なる映画を制作する必要があるなどの事情も!
【その②】インド映画発祥は西インド《ボンベイ(ムンバイ)》
インドで初めて映画が上映されたのは1896年・ムンバイ。
フランスの映画発明家・リュミエール兄弟がシネマトグラフ(複合映写機)を持ち込み、上映した事がインドで初の映画公開とされています。(※2)
その後、インドでも翌年1897年より映画の製作がスタート。
これまでに数多くのインド映画が普及しています。
インドの映画制作会社数は400社以上にのぼり、世界的に見ても生産体制が整っているインド。
その理由としては、撮影スタジオの立地の良さ・地価の安さをはじめ、資金調達のしやすさ等もあるのだとか!
※2:「Production and distribution system in film industry in India: a case study in Mumbai」より参照
【その③】ボリウッド映画=インド映画ではない!?
「ボリウッド映画」=インド映画、と思っていませんか?
実は、ボリウッドの「B」はインド映画発祥の「ボンベイ(現在のムンバイ)」の頭文字をとって呼ばれています。
ヒンディー語映画はムンバイを中心に製作され、1970 年代後半頃から「ボリウッド」と呼ばれるようになったとか。
ちなみに、インドにはムンバイだけでなく、各地に映画産業の集積地が存在しています。
例えば、タミル語映画界では、チェンナイ市内の映画産業として有名なコーダーンバッカム(Kodambakkam)の頭文字「K」 をとって「コリウッド」,
テルグ語映画界では、テルグ語の頭文字 T から「トリウッド」と呼ばれています。
【その④】インド映画にはなぜ《ダンスシーン》が多いのか
インド映画といえば、ストーリーの途中でダンスや歌を歌うミュージカルシーンをよく目にします。
一説によると、様々な言語が存在するため、吹き替え版などを制作を行う際に、言語の壁を越えて感情を”ダンス”で表現するためにダンスシーンが多く存在するのだとか。
他には、インドでは宗教上の理由からラブシーンが禁止されている事もあり、恋愛シーンなどは盛り上がりを表現するためにダンスシーンを入れているという説や、そもそもインド人の生活の中に歌とダンスが根強くあることから入れているという説も。
そのため、必然的に他国の映画と比べると映画そのものの上映時間が長くなってしまうとのこと。
ミュージカル風になるのは、国民性や宗教上の理由など様々だったんですね。
【その⑤】なぜ上映前に《国歌斉唱》をするのか
インドの映画館では、上映前に必ず《国歌斉唱》をします。
国歌が流れるのは約52秒間、必ず全員が起立することが義務付けられています。
これは、インド国歌に敬意を示すために行っているとのこと、
インド最高裁は11月30日、映画館で上映が始まる前に必ず国歌を流し、その間スクリーンには国旗を映すこと、館内にいる人は国歌が流れる52秒間、全員起立することを義務付ける判決を出した。さらに、国歌を脚色したり商業利用することはできないとして、あらゆる「望ましくない」ものに国歌を印刷することも禁じた。
最高裁は、国歌に敬意を示すようにと命じた。ーHUFFPOST「インドの映画館で国歌演奏と起立を義務付け」より参照ー
過去2016年には、インド南部ケララ州の映画館にて国歌斉唱時に起立をしなかったインド人男女12人が、不服従の疑いで地元警察に逮捕された事件も起こっています。
これが義務付けられていて、過去に逮捕された事例まであるなんて。。
「郷に入れば郷に従え」私たち日本人も敬意を払い国歌斉唱しましょう!
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実際にインドで映画館へ行った様子をレポート!
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お勧めのインド映画5選
ここからは「このインド映画は観てほしい!」とっておきの映画をご紹介します!
定番作品となりますが、どれもインド映画の名作です。
どの作品もインドをリアルに感じられる作品ばかり!ぜひご覧下さいね。
【起業家必見!】パッドマン 5億人の女性を救った男
インドの小さな村で新婚生活を送る主人公の男ラクシュミは、貧しくて生理用ナプキンが買えずに不衛生な布で処置をしている最愛の妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。研究とリサーチに日々明け暮れるラクシュミの行動は、村の人々から奇異な目で見られ、数々の誤解や困難に直面し、ついには村を離れるまでの事態に…。それでも諦めることのなかったラクシュミは、彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり、ついに低コストでナプキンを大量生産できる機械を発明する。農村の女性たちにナプキンだけでなく、製造機を使ってナプキンを作る仕事の機会をも与えようと奮闘する最中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――。公式サイト「パッドマン」より抜粋
タミル・ナードゥ州出身の発明家・アルナーチャラム・ムルガナンダムの実話。
最愛の妻を想い、低価格かつ衛生的な生理用ナプキンを発明するというサクセスストーリー。
インドでは2018年2月に公開、その後日本では同年12月に公開。
(インドでは2,750スクリーン、日本を含めた海外では600スクリーンにて公開)
生理をテーマにしている映画のため、国によっては公開許可が下りなかったとか。
ゼロからイチを自分の手で創り上げ、想いを形にするためにひたむきで一途な主人公の生き様に必ず勇気をもらえます!
何度みても胸が熱くなります。
映画内で名言は数多くありますが「想い続ければ必ず叶う」というのをこの映画を通じて強く感じました。
【女性&英語学習者必見】マダム・イン・ニューヨーク
主人公は、インドのごく普通の主婦シャシ。
夫と子供に尽くす事が務めだと信じている。
たとえ、夫や子供に感謝されなくても、認められなくても、だ。
しかし、そんな彼女が英会話という小さなきっかけを通して、それまで抱いていたコンプレックスをはねのけ、ひとりの女性としての誇りと自信を取り戻す。ーマダム・イン・ニューヨーク公式サイトより抜粋
2012年に公開されたガウリ・シンデー監督のインド映画。
インドでの公開当初、実は日本での映画公開予定はなかったものの、人気のあまり日本でも上映となったとのこと!
日本ではインドでの公開2年後の2014年に放映されました。
主演のシュリデヴィはインド大女優の一人。
1997年、映画プロデューサーのボニー・カプール(Boney Kapoor)氏との結婚を機に休業(2018年2月、54歳にて死去)
なんと15年ぶりの復活作品としても注目を集めた作品でもあります!
この映画は、時に身近な家族に理解されず苦しみながらも、仲間と共に小さな成功体験を積み重ねながら、成長していく主人公のその姿には、女性として共感あり&英語学習の勇気をもらえます!
そして「英語がなかなか上達しない…」と壁にぶつかってる人にもぜひ見てほしい映画です。
ついつい自分と主人公を重ねてしまい、感情が入り込んでしまいます。
【挑戦したい人へ】きっとうまくいく / 3 Idiots
インドで興行収入歴代ナンバーワンを記録する大ヒットとなったコメディドラマ。
インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの3人が引き起こす騒動を描きながら、行方不明になったランチョーを探すミステリー仕立ての10年後の物語が同時進行で描かれる。ー映画.com.「きっと、うまくいく」より抜粋
インドで歴代1位の興行収入を記録した最高作品!
インドでは2009年12月、日本は2013年5月に公開されました。
日本語の題名は「きっと、うまくいく」(原作「3 Idiots」ヒンディー語で「3人のアホ」という意味)
インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、インドの競争社会のリアルを描きながらも、幸せや友情を描いたヒューマン・ストーリー!
ラージクマール・ヒラ―二監督。
主人公は”インドの国宝”とも呼ばれるアーミル・カーン。
これまで何度観たか数えきれない程、大好きなインド映画!
落ち込んだり、不安になった時に観ています。
合言葉「All is well!!(きっとうまくいく)」はまさに心の支えです!
【優しくなりたい人へ】LION/ライオン~25年目のただいま~
2012年、驚愕のニュースが世界を駆け廻った。5歳の時にインドで迷子になり、養子としてオーストラリアで育った青年サルーが、Google Earthと出会い、25年ぶりに家を見つけ出したというのだ。このまさかの実話を元に、『英国王のスピーチ』の製作陣が描き出すのは、一人の男が辿ったあまりに数奇な人生の物語。 自らのルーツを探すように、サルーが20年以上前のおぼろげな記憶とGoogle Earthをつき合わせていく中で、次第に明かされていく、彼の巻き込まれた運命の数奇さ、スラム街で幾多の危険をくぐり抜けてきた少年の知恵と生命力、そして深い愛に包まれていた彼の本当の人生―。 主人公のサルーには、『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテル。彼の養母役に、本作でも多くの賞にノミネートされているオスカー女優のニコール・キッドマン、恋人役に『キャロル』でアカデミー賞®にノミネートされたルーニー・マーラ。 壮大な“探し物”の果てに、彼が見つけたものとは?自らの手で奇跡を引き寄せた男の、圧巻の感動ドラマ。ー映画「LION/ライオン」公式サイトより抜粋
2016年公開の映画で、オーストラリア・アメリカ・イギリス合作の映画。
公開後、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などで作品賞にノミネートされた感動傑作!
その後、日本では2017年4月に上映されました。
この作品は、実話を基に映画化されたまさに《ヒューマンドラマの最高傑作》
世界中で関心を集めた映画のひとつ。
25年家族を探し求めた感動の実話で、涙なしには決して見れない作品。
自然と家族を思い出して、家族を大切にしようと改めて思えるような温かな感動に包まれた傑作です。
最後の一秒に「えーー!!」と驚きと感動が隠されている、最高の映画!
【ハラハラしたい人へ】スラムドッグ$ミリオネア
今まさに爆発しそうなインドのエネルギー、そして、その混沌と貧困のただ中で夢をつかもうと生き抜く孤児のジャミール。
物語は世界的な人気番組『クイズ$ミリオネア』で、ジャミールがあと一問で全問正解と言う緊迫した場面から始まる。
しかし、インドのスラム街で育った無学の少年が質問の答えを知るはずもないと、司会者に疑われ、賞金を払いたくないTV番組会社の差し金で警察に連行され、尋問を受けることになる。
過激なまでに貧困と富の差が混在する、今のインドを失踪しながら、<生きるために答えを知ることになる>少年の人生を、生命力溢れる演出と、多彩な映像美で描く。ー公式サイト「スラムドッグ$ミリオネア」より抜粋
原作はインド人外交官のヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』。
2008年に公開された映画で、ダニー・ボイル監督による作品。
無名の俳優ばかりを起用にもかかわらず、アカデミー賞を始め数々の賞を受賞した作品!
日本では2000年~2007年まで放送されていた「クイズミリオネア」に馴染みある方も多いのでは?
映画では、スラム出身の主人公・ジャミールの過酷な人生と、その人生に立ち向かう真っすぐな主人公の生き様が描かれています。
そして、この映画からインドのリアルが少し垣間見れます。
涙なしには見れない、そして最後までハラハラが止まらない!まさに最高傑作です。
この映画からは多くを学びましたが、一番は《経験からいかに学びを得るか》という事を感じました。
他にもインドのダッパーワーラをテーマにした「めぐり合わせのお弁当」「スタンリーのお弁当」などもお勧めです!
【インド在住者必見】インドで邦画が楽しめるイベントも!
実は、インドで日本映画が楽しめる素敵なイベントがあるんです!
国際交流基金が主催しているインド日本映画祭(Japanese Film Festival in India)
「インドにおける日本映画の認知度向上・日本映画のファン層拡大」を目的としているインド最大規模の日本映画イベント!
デリー・グルガオンを皮切りに、インド全国 7都市で最新作や話題作など25作品の日本映画を上映。
2017年より実施され、2019年の今年は3回目を迎えるインド日本映画祭。
なんと今年度は、前年以上に規模を拡大し実施中!
インドでは2019年9月27日(金)~2020年2月16日(日)まで各地で上映中です。
インド人一緒に母国の映画を楽しめて楽しいひと時でした。
こちらの記事に、今後のスケジュールなども載せています。
インド在住の方、要チェックです!!
最後に
今回は日本とは異なるインドの映画事情についてお届けしました!
いかがでしたか?
インドには、魅力あふれた映画があふれています。
ぜひインド映画の背景を知って、あなただけの《お気に入りのインド映画》を見つけて下さいね!
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