【現地人材コンサルが解説!】インド現地採用の《福利厚生》分かりやすく解説!

日本では求職者の80%以上が重要視しているといわれる福利厚生
海外就職・転職の場合でも、企業を決める上で大切なポイントのひとつです。

日本では、各種社会保険や通勤交通費という基本的なものから
施設や勉強会などお得に利用可能なものまで幅広く充実しています。

では、インドで働く場合の福利厚生は?

インドの人材エージェントで働くコンサルタントがインドで現地採用として働く場合の福利厚生について紹介します!

※本記事は、インドの人材紹介会社で働く私の経験や知見を基に記載しています。
あくまで参考としてご覧頂けますと幸いです。

そもそも福利厚生とは?

福利厚生とは、会社が所属する従業員に対し、社員の健康や生活の充実や定着率の向上を目的に設けている制度です。

日本の福利厚生制度には、
社会保険料など法定で定めている「法定福利厚生」
法定義務がなく企業側で自由設定できる「法定外福利厚生」の2種類があります。

インドで現地採用として就業の場合、基本的には「法定外福利厚生」のみというケースがほとんどとなっています。




インド・現地採用者の福利厚生の一覧

インドにおける現地採用者の具体的な福利厚生とは?
主に、下記のようなものが一般的となっています。

※本記事で紹介している福利厚生や割合については、インドの人材紹介会社で働く私の経験や知見を基に記載しています。
あくまで参考としてご覧頂けますと幸いです。


【基本の福利厚生①】航空券(日本~インドへの渡航)

航空券代(日本~インドへの片道分)は、ほぼ9割以上の企業が負担しています。
企業によっては、企業側でチケットの手配まで行ってくれますが、自身で負担するケースも少なくありません。
その場合、入社後にきちんと立替申請を行えるように領収書をきちんと受け取っておきましょう。

【基本の福利厚生②】VISA申請費用

VISA申請費用も、航空券と同様にほぼ9割以上の企業が負担しています。
大使館への申請自体は、約1500円~2000円程。

企業によっては「提携しているVISAエージェント経由にて取得可能」もしくは「エージェント費用(約15,000~20,000円が相場)負担」というケースも。
中には、自力で取得というケースもあります。
その場合は自分でスケジュールや必要書類を集める必要があります。

多くの求人で「VISA取得費用負担」と記載されているので、エージェント費用含めて負担してくれるのか等、事前に確認する事をお勧めします。

私の場合、自分で申請を行いました。企業側、個人含めて用意する資料が多いため、企業側としっかり連携を取りながら進めていく必要があります。VISA取得自体は3日で完了!

【基本の福利厚生③】FRRO登録費用

FRRO(外国人登録)費用も、ほぼ100%の企業が負担しています。

FRRO(外国人登録)とは「Foreigner Regional Registration Office」の略で、外国人登録と呼ばれています。
インドに180日以上滞在する外国人が、入国後14日以内に入国管理局に登録をしなければならないというもので、就労VISA保持者は必ず手続きをしなければなりません。
準備資料が多く、外国人にとって最も難しい手続きのひとつと言われています。

期限を過ぎてしまうとペナルティが発生してしまうため、早めの取得をお勧めします。

FRROは必ず14日以内に申請を!
2018年のe-FRRO導入に伴い、FRRO申請遅延ペナルティが変更となっています。※2019年2月時点

1.到着から14日以降3ヶ月まで 21,600INR(約34,560円)
2.到着から3ヶ月以降 53,600INR(約85,760円)

従来のペナルティー額の10倍以上の設定となっています。

私はFRROもエージェントや会社のサポートなく、自分で申請しました。
FRRO申請方法は別記事《FRROオンライン申請方法》にまとめましたので、ぜひご覧ください♪



【一般的な福利厚生①】ホテル費用(住居決まるまで)

住居が決まるまでのホテル費用は、約7割の企業が負担しています。
期間は約2週間というのが一般的。
企業によっては最短1週間、最長1ヶ月という場合も。

福利厚生としてホテル費用がある場合は、期間も合わせて確認しておきましょう。

渡航前にできるだけ物件の選定を!
新たな職場に慣れるのに加え、並行して住居探しやFRRO登録…というのはかなり大変。
また、渡航時期やエリアによっては、物件数が限られるケースも。
住居探しを少しでもスムーズにするためにも、事前に不動産仲介業者とコンタクトを取り、渡航前にいくつか物件を絞っておくことをお勧めします。

【一般的な福利厚生②】現地医療保険への加入

現地の医療保険への加入は、約8割の企業が負担しています。
ただし、インドの場合は通常入院時から適応されるものが一般的。
風邪や腹痛などで通院した際は、すべて自己負担となりますのでご注意を!

「全て自己負担」と聞くと驚きますが、インドの医療費は日本に比べ非常に安いです。
私の場合、腹痛や風邪で診療した際には薬代込みで1000INR~1500INR(約1,600円~2,400円)ほどでした。

【一般的な福利厚生③】一時帰国費用(年一度)

日本への一時帰国費用(年一度)は、約6割の企業側が支給しています。
入社初年度から適応されるケースもあれば、入社後2年目以降より付与という企業もあります。
ここ最近は、入社後2年目以降より付与している企業が増えています。

また、一時帰国時の時期については、就労者が希望する時期を認める企業もあれば、仕事と絡めた形で付与するケースもあります。
(例えば、製造業の場合多いのが展示会や本社での研修など。その他、セミナー実施のタイミング等)


【その他①】社用車(個人車 / 共用車)

車の支給(個人 / 共有)は、約3割程度の企業側が支給しています。
ほとんどが共有車という形が多く、駐在者の日本人と共に使用するケースです。
個人に車を支給している企業は非常に少ないです。

仕事柄、外出の多い営業職は、何らかの形で車を支給されているケースが多いです。
ちなみに、日本では交通費が給与と別に支給されるのが一般的ですが、インドは交通費は給与に含まれています。
そのため、福利厚生で車の支給がない場合、基本的にはUBERやOLANなどの配車サービスを使う必要があります。

【その他②】家賃補助

家賃補助を支給している企業は、約1割ほどと非常に少ないです。
ムンバイなどのインドの中でも物価の高い地域では、家賃補助を出している企業が多い傾向があります。

家賃補助のケースとしては主に下記3パターン。

① 全額負担 もしくは 住居支給
② 割合負担(例:2割まで負担、等)
③ 上限あり(例:20,000ルピー/月まで負担、等)

また、家賃補助を設ける多くの企業が「③上限あり」のケースです。
家賃補助の場合、どのケースに当たるのかきちんと確認しておく事をお勧めします。

【その他③】引っ越し費用補助

日本からインドへの引っ越し費用を補助する企業は約1割程。
全額負担のケースはほとんどなく、上限が設けられているケースが一般的です。

大切なものはご自身で!
日本~インド間の輸送は、100%確実という事はありません。
輸送中に破損する事もあれば、中にはインドに届いたものの自宅に届かないケースも。
大切なものはご自身の手持ち荷物に入れて持ってくることをお勧めします。


【その他④】予防注射

予防接種費用を負担する企業は、約1割以下と非常に稀です。

企業によって、全種類接種可能な場合もあれば
推奨度の高い「A型肝炎」や「腸チフス」など限定の予防接種のみ可能というケースも。

予防接種については、在インド日本国大使館が掲載している《インド赴任・旅行前に受けておきたい予防接種》や専門機関のお知らせにてご確認ください。

インドでもワクチン接種可能!
インドでは、日本脳炎ワクチンの接種は受けられませんが、他のワクチンは、インドにも国際的に信頼性の高いブランドのワクチンが多く流通しているので、接種可能。ただし、エリアや病院によるため事前に確認が必要です。

【その他⑤】準備金 / ジョイニングボーナス

準備金やジョイニングボーナスを支給する企業は約1割以下で、非常に稀です。
(ジョイニングボーナスとは、入社時に支給されるボーナスのこと)

支給の際には、通常期限が設定されているケースがほとんど。
万が一、期限内で退社となった場合は全額もしくは一部返金というケースもあるのでご注意を。


まとめ

今回は、インド現地採用の福利厚生についてまとめました!

日本では求職者の80%以上が重要視しているといわれる福利厚生。
企業を決める上で大切なポイントのひとつです。
「福利厚生を重視して会社を選ぶ」というのは、求職者にとって大切な視点。

会社を選ぶ際に職務内容や給与と同じく、福利厚生の充実も判断基準のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。

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